筋膜ってなに?

筋膜リリースという言葉が世の中に広まってからもうずいぶん経ちますが、そもそも筋膜ってなんでしょう?

多くの方が良くわからないでしょう。通説では筋膜とは筋肉を覆っている膜のことです。そして、その膜同士が癒着しているのがコリの原因であり、これを剥がしてあげるのが筋膜リリースです。というのが世に知れ渡ってしまった少々語弊のある筋膜の説明であり、ボディーケアを生業にしている同業者が良く使う文言ですが、この説明は一部誤りがあります。筋肉同士や皮膚を繋いでいるのはファシアであり、通常は繊維状で潤滑油のような役割を果たしていますが、硬化すると滑りにくくなってしまうので固まったファシアを溶かす(リリースする)という意味では筋膜リリースは一般の認識で正解ともいえます。筋膜同士が癒着するのではなくコラーゲンの繊維状のファシアが固まっているという事です。

というのも、筋膜と言われるものには2種類あるからです。先に記述した筋肉を覆ている膜という筋膜も存在しますが、いわゆる肩こりに関係している筋膜とは少し違います。本来の名前は”ファシア”といい、これを日本語訳すると筋膜になってしまうので意味が混合してしまったのです。

では、ファシアとは? これは全身を覆っているコラーゲンの膜です。皮膚や脂肪に網の様に張り巡らされていて全身を覆っています。そして特徴的なのはストレスや自律神経の影響で硬化することです。通常はゼリーのように柔らかくプルプルしたものですが、急激なストレスを感じると一気に硬化します。これは身を護る為の反応でどんな動物でも起こります。わかりやすいところで言うと猫が毛を逆立てたりハリネズミが背中の針を起てたりするのがこの反応です。主に首から腰に掛けての部分が特に硬化しやすいのですが、これは敵に襲われた時に身を護る為だと考えられます。

ストレスの原因が解消されれば一気に軟化されてまたゼリー状に戻るのですが、自律神経の影響や生活の中のストレスがずっと続くなど軟化されずにいると、硬化したままで固まってしまいます。これがストレスによる肩こりの原因で、肩こりの原因の八割ほどがファシアの硬化によるものです。

首から肩甲骨の間は自律神経の影響を特に受けやすいため肩こりとして身体に現れてしまうのですが、同時にこのファシアが硬化することで自律神経に悪影響を及ぼすという負のスパイラルに陥ってしまいます。

出来るだけ規則正しい生活を心掛け適度に運動することで自律神経を整えられ、肩こりの解消に繋がります。

ちなみに、元々寝てる時でも歯を食いしばってしまったり、力を抜いてリラックスした時間を過ごしたりするのが元々苦手という方が結構おられます。こういうのは性格の面も大きく影響します。真面目でゆっくり過ごすことに罪悪感を感じる。家族のことでゆっくりする時間がないなど理由は様々ですが、やはりそう言う方ほど肩こりはひどいです。好きな事をやったり、ダラダラ過ごすという時間もとても大切なので罪悪感を感じることなく身体の為にだらけてみましょう。