不幸ホルモン!?

幸せホルモンなんてものがあるなら逆に不幸ホルモンもあるの? と考える方もいるかもしれませんが正確には幸せホルモンの分泌量が少ないと「幸せではない=不幸せ」と言える状態になるのです。

ただし、ノルアドレナリンというホルモンはある意味で不幸ホルモンと言える働きをします。このホルモンは不安、恐怖、緊張といったストレスにさらされると分泌されるホルモンです。このホルモンは一種の防衛本能に作用するホルモンで「闘争か逃走のホルモン」とも呼ばれます。脳が覚醒し、心拍数や血圧が上昇し、瞳孔を拡大して敵に対峙できる状態にするためです。

このホルモンが分泌されている時、自律神経の交感神経が優位になって身体は緊張状態になるのですが、この時首や背中は外敵から身を護る為に硬くなります。これがファシアの硬化です。四足歩行の動物の場合弱点となるのは首から背中。ここを護る為に硬化します。猫が毛を逆立てたりハリネズミが針を立てたりするのと同じようなものです。逆にお腹側は硬化しません。こっちが固くなると動きが鈍くなり戦うことも逃げることも出来なくなってしまいます。

このノルアドレナリンは短い時間や程よい緊張であればやる気や集中力を高めたり、ストレスに対する耐性が強くなったりといいこともあるのですが、過度のストレスが長期間続くと逆にやる気が出なくなり、集中力は低下して無気力状態になります。これが酷くなると抑うつ状態にもなります。

またファシアは短期間の程よい緊張であれば副交感神経が優位になれば溶けて直ぐに柔らかい状態に戻るのですが、長期間緊張状態が続くと硬化したままの状態になります。

こうした状態を防ぐためには「幸せホルモン」の一つであるセロトニンの分泌が有効で、治療の為にセロトニン作動系の抗うつ剤という物を利用することもありますが、セロトニンも濃度が高まり過ぎると逆に自律神経が乱れ発汗や心拍数の増加、体の震え、ひどくなると頭痛や錯乱などの症状が出ることもあります。

どのホルモンも体にとっては非常に重要ですが、バランスを崩し一部のホルモンが過度に働き過ぎると結局体調を崩してしまう結果となってしまいます。

幸せホルモンの分泌が過ぎると体調を崩し、精神疾患に陥るといった不幸が訪れる結果となる場合もあるので過度に分泌させるのもよくありません。しかしお酒やギャンブルの様に依存的な要素もあるので注意が必要です。幸せホルモンは多くても少なくても不幸せな結果を招く可能性があるのです。その意味では「ホルモンバランスの乱れ=不幸ホルモン」といえるのかもしれません。