”楽”と”楽しい”は同じなの?

 メンタルを整える上で大切なのは自律神経をコントロールすることですが、実際には自律神経をコントロールすることは出来ません。ですが、自律神経の働きを理解していればある程度はコントロール可能です。
 自律神経とは呼吸や血圧、体温、心拍などの生命維持に関わる機能を調節する神経系です。意識的な努力を必要とせず、自動的に(自律的に)機能するのが特徴です。つまり、自分の意志でコントロールできるものではないのです。
 自律神経は交感神経と副交感神経の2つの要素で構成されています。交感神経は運動したり緊張したりすれば優位に働き、副交感神経は眠ったり、リラックスしたりする時に優位に働きます。眠る前にスマホを見てはいけないと言われますが、眠るという行為に対して画面の光や見ている内容によっては交感神経が刺激されるため眠る時に必要な副交感神経を優位にする行為とは真逆の行為だからです。どういう時に交感神経が優位に働くのか、副交感神経が優位に働くのかを理解すると自律神経は整えやすくなります。
 仕事に追われるストレス社会と呼ばれる現代において自律神経を整える為には食事、運動、深呼吸、楽しい事をしたり、何もせずにゆっくり寛いだりとストレスを発散させる行為を生活の中にうまく取り入れて交感神経と副交感神経の切り替えを自発的に行うことが大切です。

 さて、皆さんは”楽”という感じに違和感を感じたことはないですか? ”楽しい事をする”ことと”楽をする”ことは実際は同じなのでしょうか? 私のイメージでは”楽しい”という行為はどちらかというとアクティブであり積極的に何かをするイメージであり、”楽をする”という行為はパッシブであり消極的で何もしないというイメージがあります。はっきり言って真逆です。
 実際、”楽しい”と思える行為は多くの場合、身体や脳を活性化し自律神経が優位に働きます。逆に”楽をする”と言う行為の場合は身体や脳を鎮静化し副交感神経が優位に働いている場合が多いです。ただし、どちらもストレスを解消する行為ではあります。その意味ではどちらも”楽”という漢字が共通している様な気がします。ある時間は積極的に身体を動かす時間を取り入れ、またある時間は何もせずゆっくりと身体を休める時間を取り入れるというのは非常に大切な自律神経を整える行為となります。

ただし、どちらの”楽”でも過ぎれば毒になってしまいます。日常生活において”楽”は絶対に必要ですが”楽をする”ことと”楽しむ”ことは別でありどちらも必要で、そのバランスがとれていることが自律神経を整えるという行為になるのです。